借金を重ねて消費し続けた米国

借金を重ねて消費し続けた米国はいわばキリギリス

この状況をイソップ物語に例えれば、米国がキリギリスさん、中国がアリさんということになろうか。貯蓄などせずに今を楽しもうと借金してまで消費しまくったキリギリスさん。年金、医療システムが未発達なので、不安な将来に備え倹約に励んでこつこつ貯蓄してきたアリさん。でも、アリさんだってキリギリスさんが派手におカネ使ってくれたから輸出を伸ばし、たくわえの元手が稼げたわけだ。ところがキリギリスさんは、モノはいっぱい買ってくれたけれど、その支払いは専ら米国債という借金証文ばかり。こうなると、キリギリスさんが切った小切手Tドル札)を誰も受け取りたくなくなる。

 

そもそも巨額発行される米国債を米国民自身が購入するに足る貯蓄があれば、なにも中国詣でまでして米国債購入をお願いする必要もない。米国人の貯蓄率が上がれば、ドルヘの信認も(幾分かは)改善されよう。

 

その貯蓄率だが、サブプライム後はさすがのキリギリスさんも反省して倹約に励み、貯蓄するようにはなった。しかし、貯蓄率は2009年第2四半期の4・9%から第3四半期は3・4%へ再下落している。米国版エコカー減税のような優遇措置を利用して車を買ったものの、そのおカネは貯金の取り崩しという消費構造なのだ(これでなんとか同期の国内総生産[GDP]成長率が3・5%に回復はしたけれど……)。

 

ちなみに、日本はアリさん組に属する。だから、巨額の財政赤字を賄うために増発される国債の主たる買い手として、日本政府は1400兆円の金融資産を持つ個人投資家の懐をアテにしている。親の借金を子供に肩代わりしてもうイメージか。庶民の貯金=郵貯の大半は国債で運用されているし、財務省は有名タレントを起用して個人国債キャンペーンを張る。そこで「アテにされても困る」という人もいるし、アテにされていることに気がつかない人もいる。

 

アテにする側にいた霞が関の元経済官僚が引退後、個人的に金を買いたがるというエピソードがあるが、これはちょっと背筋が寒くなる話ではある。