外国為替を利用したキャリー・トレードの仕組み

外国為替を利用したキャリー・トレード

こうしたデリバティブを使用したキャリー・トレードは数多く見られたが、ここからは、外国為替の世界でのキャリー・トレードを紹介しよう。

 

例として、円と英ポンドを使用したキャリー・トレードを取り上げる。ここではデリバティブではなく、円資金の調達と英ポンドでの預金運用を利用して行う。
投資期間終了後、つまり3ヵ月後でのスポット為替レートを次の三つのケースで考える。

 

ここでは、基本的に勝ち負けは、英ポンドの預金を満期時に円に変換して、円ベースで考える。上の三つのケースで見たように、英ポンドが円高で減価するケース1では、このキャリー・トレードに損失が発生する。また、ケース2のように、満期時点の為替レートがスタート時点でのスポットレートと同じであった場合には、金利差分の利益が出ることになる(= 19億円×(3%−0.5%)÷4)。また、ヶ−ス3のように円安になれば、より大きな利益が生まれる。

 

この例で分かるように、キャリー・トレードでは、高金利通貨での運用と低金利通貨の調達が組み合わされる。金利のカーブと違い、世界の国の金利は異なる。経済が強い通貨やインフレに見舞われている国の金利は高い一方、経済が低成長であったり、デフレに見舞われている国の金利は低い。こうした国の金利差を見ながら、運用と調達を組み合わせて、キャリー・トレードが仕組まれるのである。

 

キャリー・トレードに利用される主な通貨ペアを上に掲げた(図表3-6)。運用側の高金利通貨には、主としてコモディティー通貨等の高金利通貨が利用される。一方、借入側の通貨には日本円、ユーロ、米ドルといった3極通貨、それにスイスフランが利用されている。もちろん、低金利通貨の中の通貨間でも金利差があり、例えば、米ドルを運用通貨とし、円を借入通貨としたキャリー・トレードもあり得るから、上図の限りではない。また、米ドルも米国の金利上昇があれば、高金利通貨に分類されることもあり得る。